ープレシーズンマッチ、そしてリーグワンライジング開幕を前に、各コーチ陣が注目選手として名前を挙げた山村和也選手と宮下晃毅選手。報徳学園高校時代からの同級生で、大学卒業後は同じタイミングでヒートに加入。そして、二人とも怪我による長いリハビリ期間を経験しました。
今回は鎌田(チーム広報)が聞き手となり、復帰までの日々、互いの支えになった関係性、そしてこれからのプレーへの想いについて聞きました。真剣な話の中にも、関西出身の二人らしいテンポの良い掛け合いが満載です。
「まずはヒートがやろうとしていることを体現できる選手に」
鎌田:今回、北川デベロップメントコーチを始め多くのコーチ陣からリーグワンライジングの注目選手として二人の名前が挙がっています。まずはプレシーズン開幕に向けた意気込みを聞かせてもらえる?
山村:去年アーリーエントリーでヒートに入ったんですけど、怪我でずっとラグビーができていなかったので、まずは今年ヒートがやろうとしていることを体現できる選手になれるように頑張りたいです。
宮下:僕も同じくアーリーで入りましたが、ずっとリハビリ生活でした。去年の8月に怪我をして、約1年ぐらいですかね。復帰して、まずは自分の持ち味を全力で出して、とりあえず目立つことを目標に頑張りたいです。
学生時代の大怪我。それでも前を向けた理由
ー2人はそれぞれ大学4年時に大きな怪我を経験しました。山村選手は大学のオールスター戦で右足を負傷。宮下選手は菅平合宿中の試合で膝を痛め、今後の競技生活を見据えて手術を決断しました。
鎌田:2人の怪我の話が出たから、ちょっとその辺を聞きたいなと思うけど。大学時代の大怪我の影響が2人ともあって、ずっとリハビリ生活を過ごしていたと思うけど、まず、どんな感じの怪我やったのか聞いても良い?
山村:はい。大学4年の春シーズン、大学のオールスター戦に選ばれてウイングで出場したんですけど、ボールをもらって内側に切り込んだ時に相手の外国人選手にタックルされたんです。ステップを切った時にちょっとこけた感じになってしまって、倒れた時に右足のスネの横側に外国人選手のお尻が乗る感じで。そこで骨が折れてしまったという感じです。
宮下:僕は4年の夏の菅平合宿で、関西大学と試合した時でした。元々足首を痛めていたんですけど、少しだけ試合に出ることになって。本当は10分ぐらいで代わるはずだったんですけど、フラストレーションが溜まる試合展開だったこともあって、そのまま試合に出たいと言って無理しちゃって。足首が痛いままプレーしていたら、膝にタックルに入られて、いつもなら大丈夫だった気もしますが、足首を痛めていたこともあって踏ん張れなくて。そこで前十字じん帯を痛めてしまいました。切れてはいなかったんですけど、ドクターと話して、今後のラグビー人生も考えると手術した方がいいとなりました。
鎌田:学生時代の怪我が治りきらないままヒートに入って、ずっとリハビリ生活。気持ちの面でも難しい時間やったと思うけど、どういう気持ちでここまで過ごしてきた?
山村:大学4年生って、学生シーズンの中でも一番思いがあるタイミングだと思うんですけど、そこでプレーできなくなってしまって、正直めっちゃきつい時期もありました。でもリーグワンでやれることは決まっていたので、そこに頭を切り替えて頑張ろうと思っていました。
ー怪我で思うようにプレーできず、落ち込んだ時期もあった山村選手。それでも気持ちを切り替え、前を向くことができたのは、多くの方々の支えがあったからだと語ります。
山村:ヒートに誘ってくれた土井さん(リクルーター)も過去に大怪我をしたことがあるそうで、学生の時も、ヒートに入ってからも良く声をかけてくれました。いざヒートに入って、その悔しかった気持ちをリハビリにぶつけられたと思います。寺井さんや前田さんとか、トレーナーの方もめっちゃサポートしてくれて、最初はジョグも痛かったんですけど、昨シーズンが終わる頃には結構走り込めるぐらいまでペースを上げることができました。大学での悔しさが、大きな原動力になって頑張れたかなと思っています。
宮下:僕も大学のシーズンが始まる1ヶ月前に怪我をして、大学のラストシーズンを順調に送れなかった悔しさもありましたし、リーグワンで試合に出たいという気持ちを考えると、めっちゃ悔しかったです。
ー同期の選手たちが練習や試合で経験を重ねていく姿を見るたびに、焦りや悔しさも感じたという宮下選手。それでも、山村選手と一緒にリハビリを続ける中で、少しずつ走れるようになり、その変化がまた次のモチベーションにつながっていきました。
宮下:実際ヒートに入って、同期の楠田とか俊一朗とかタバケとかが、しっかり練習して試合に出たりしているのを見たら、そこが余計悔しいなと思っていました。ですけど、和也と一緒にリハビリして、走れるようになったりして、そこはなんというか、モチベーションがちょっとずつ回復していって、そしたらまた動けるようになって、それがまたモチベーションになっていったなという感じですかね。
高校時代からの仲間。しんどいリハビリも「二人やったから」
ー報徳学園高校時代から同級生だった二人。ヒート加入後も、怪我からの復帰という同じ境遇で過ごす時間が多くありました。
鎌田:二人は報徳高校時代も同級生で、ヒートでも同じような境遇で入ってきて。お互いが支えになった部分はある?
山村:ヒートに入ったばっかりの時は、めちゃくちゃしんどかったです。リハビリメニューだけじゃなくて、ワットバイクのフィットネスとかストレングスのメニューとか、学生の時とは違って結構ボリュームがあって。リハビリメニューだけでもしんどいのに、その後にそういうボリュームあるトレーニングが残ったりしたら、結構メンタル的にキツイじゃないですか?でも 1人やったらちょっと抜いちゃってたかもしれないですけど、2人だったのでどっちかが妥協しそうな時は、しっかりやろうみたいな。
ー1人だったら少し力を抜いてしまっていたかもしれない。そう振り返る山村選手ですが、隣には同じように復帰を目指す宮下選手がいました。
鎌田:一人だったらここまで順調にリハビリも進まなかったかもしれない?
宮下:かもしれないですね。僕がめちゃくちゃそういった声かけをされる側でした(笑)。
山村:あと僕が良かったなって思うのは、2人とも最初全然走れなかったんですけど、回復していく時期も一緒やったんです。治っていくタイミングというか、ジョグに切り替わったりっていうのが一緒ぐらいに進んでいったんで。それがどっちかが先に早かったりしたら遅れてる方は焦っちゃったと思うんです。それが良かったなと。
「最初はビビってた?」高校時代から続く二人の関係性
ー話題は高校時代の思い出へ。山村選手が覚えているのは、高校1年生の頃の宮下選手の意外な印象でした。
鎌田:学生時代から気心が知れてるからリハビリ期間も互いに良い刺激になったんやね。ちなみに当時のお互いの印象聞かせて?
山村:高1の初対面の時をめっちゃ覚えてるんですけど、宮下がめっちゃ静かで。自分は彼がそんなキャラじゃないって昔から知ってたんですけど、僕に対してはあんまり喋ってこなかったんですよ。で、親伝えで聞いたら、どうやらビビってるらしいぞって(笑)。
宮下:そうなん?いや、全然ビビってるとかは覚えてないんですけど(笑)。二人とも中学校の時からお互いのことは知っていて。和也のお兄ちゃん(BR東京 山村友也)と僕の兄貴(花園L 宮下大貴)が報徳高校でかぶっていたこともあって、兄貴伝えで和也のすごいエピソードは聞いていました。ほんまにエグいやつなんや、っていう印象は持ってたかもしれないです。
山村:実は中学 3年生の時に日本一になったんですよ。
宮下:そうそう、そういうのとか、報徳と練習試合やって誰々をカチったとかそういう噂が流れてきて、ほんまにエグいやつなんや、っていう印象は持ってたかも。ビビってた?笑
鎌田:その関係はどこで変わった?
山村:それがマジで覚えてない。でも多分高2になったタイミングぐらいで一緒に2人でスタメンで試合に出るようになってかな。
宮下:僕は高一の時全然試合出てなくて、Bチームとか Cチームでウイングやってたんですよ。実はフルバックもやってました。でもめちゃくちゃなフルバックでしたね。
キックは当たったら飛ぶんですけど、当たらんかったらやばい、みたいな。笑
ハイボールが飛んできたらノッコンばっかりで、キック蹴ろうとしたら空振りとかしちゃったり。で、高 2の時にセンターやるようになって、そこで和也と一緒にセンターで出たりしとったんですよ。
山村:僕も当時はセンターやってたんで 12番 13番で出たりする試合もあって。その時は試合するのが楽しかったです。
鎌田:お互いの印象の変化は?高校の時はこうやったけど、今はちょっと大人になったやん、みたいな。
山村:高校の時、宮下は結構チョケキャラで、変なことばっかりしてずっとふざけてたんですけど、今はマシになったかなと思ってたら、さらにひどくなってるかもしれないです。笑
宮下:何やそれ。全然良い話ちゃうやんけ。笑
山村:でも体はめちゃくちゃでかくなってて、久しぶりにあった時はびっくりしました。
宮下:高校の時は身長はあったけど今に比べたら軽かったよね。 90kgぐらいしかなかったです。高二の花園から急にFLとかNo.8やるようになって。BKからFWなんで、いま考えるとわけわからないですが。
宮下:ぼくは和也の印象はあまり変わりないですけど、でも高校の時は、ほんまに報徳と言ったら山村和也やったので、その印象はずっとありますね。絶対的エースだったので、ヒートでも見せてくれますよ。な?笑
外から見たヒート、そして同期との刺激
ーリハビリ期間中、チームを外から見る時間も多かった二人。山村選手は、ヒートの雰囲気の良さと、ベテラン選手からのアドバイスが印象に残っていると話します。
鎌田:リハビリしてるとチームを外から見る機会も多かったと思うけど、チームの印象とか、この選手すげえなみたいな。ある?
山村:チームの雰囲気、めっちゃいいと思います。新加入で来たベテラン選手の皆さんも、練習の中でアドバイスをめっちゃしてくれて。小倉さんはチームにすごくプラスの影響を与えているなと感じますし、僕自身もパスを教えてもらったり、ご飯に誘ってもらったり、オフフィールドでも気にかけてもらっています。
宮下:僕だけの問題かもしれないですけど、プロチーム、リーグワンのチームになって、チームのシステムとかラインアウトのサインとかみんな吸収するのが早いなって感じてます。僕は高校、大学と割と自由にやらしてもらってたんで、そこら辺で今ちょっと混乱してるんで、周りの人たちは新しくできたサインとかもすぐ取り入れてるので。そこについていかないとやばいなって。土日も、昨日とかもずっとサイン見てました。ラインアウトのことは楠田にLINEで聞いて。多分楠田めっちゃうざかったと思うんです。 最後ちょっと文章冷たくなってたんで。笑
山村:楠田は仰星高校で、多分そういうの慣れてるんで、明治大でもそういうのに沿ってやるっていうのがもう身についてると思いますね。
鎌田:楠田の話が出たけど同期は仲いい?どっか行ったりしてるの?
山村:この前も皆で川にいったりしましたね。結構僕がどこどこ行きたいって言いだすことが多いんですが、じゃあ皆でいこかみたいな。
宮下:僕は結婚してるんでいけない時もあるんですけど、今のところ誘ってもらえてます。笑
ーリハビリを共に乗り越えた二人は、トレーニング面でも互いに刺激し合う存在です。
鎌田:二人のお互いに尊敬してる部分とか?
山村:宮下から見習いたいのは、圧倒的にフィジカル、特にストレングスですね。僕は今まで筋トレってバーって回数やって、できるだけ重量持って、みたいな意識でやってたんですけど。 宮下はめっちゃレスト取るんですよ。
宮下:それサボってるみたいに思われへん?
山村:(笑)
宮下はちゃんとレストを取ってでも、重い重量をしっかり持つんです。それを見て、自分もやり方を変えました。補助に入ってもらってギリギリまで攻めてもらっているので、持てる重量も増えました。
鎌田:この前の測定めっちゃ上げてたよね。 70kgの重り付けて懸垂してたやん。
山村:元から背中は強いほうですけど、でも入ってから懸垂は20kgぐらい増えてますね。ベンチプレスも入ってきたときは100kgとかでやってましたけど今は130kgです。
宮下:和也は体力がめっちゃあるんですよ。ブロンコとかも速くて、最後まで手を抜かない。チームでもフィットネスはトップの方なので、そういうところは自分も目指してやらないとなと思っています。
リーグワンライジングで見せたい、それぞれの持ち味
ーいよいよ実戦の舞台へ。リーグワンライジングで注目してほしいプレーを聞くと、二人はそれぞれの強みをはっきりと口にしました。
山村:去年はラグビーができなくて、試合すること自体が1年以上ぶりになります。ウイングで出るからには、トライだったり、ゲインラインを切っていくことが僕の役割だと思うので、自分に課せられている役割を全うしたいです。
宮下:僕はアタックが得意なので、アグレッシブなボールキャリーとか、ボールを持ったらちょっと面白いプレーするよなって思ってもらえるようなプレーをしたいです。
ーフランカーとしての競争、バックスリーでのポジション争い。それぞれ厳しい環境に身を置く中でも、二人が見据えているのは、まず自分のプレーを出し切ることです。
鎌田:FLにはパブロもいるし、良い選手がいっぱいいるけど意識する?
宮下:誰かを意識というよりかは、まず自分のプレーをしたいと思ってます。まだ戦術理解とかで色々混乱していて、自分のプレーに集中できていないんで、ライジング出る頃には、自分のプレーに自信を持って、みんなが楽しいな、面白いなと思ってもらえるようなプレーをやりたいです。
鎌田:山村もバックスリーの競争えげつないけど、その辺はどう思ってる?
山村:そうですね。やっぱり去年から見てても、フィジカル面でも、細かい動きの部分を見てもだいぶレベルが高いんで、逆に周りのレベルがめちゃ高い分、僕全然1年目やし。そこはもう吸収しまくって自分のものにできるように。どんどんチャレンジしてやっていきたいなと思います。
鎌田:ライジングを経て、ヒートでの階段を上っていくことになるけど、最終的にここに到達したいと思うような理想の選手像とかいる?
山村:やっぱりさっきもあげたんですけど、小倉順平さんとかは、自分からめっちゃ声だして周りを動かせるっていうのにすごい長けてると思います。やっぱりウイングっていろんなスペースが見えてるんで、そういうのを周りに共有することで、自分のプレーがやりやすくなると思うので声掛けをしていきたいですね。あとは試合とかプレーしてる最中だけじゃなくて、それ以外のところでもしっかり気づきがあるような選手になりたいです。
宮下:僕は、30代とかなってもずっと活躍し続けてる選手ってやっぱりすごいなと思っていて。僕が今 23歳で 10年後とか想像できないんで。楽平さんとかずっと試合に出続けてるし。何十年も積み重ねて、ずっと長くやり続けることが出来ている選手に憧れっていうか、そこを目指したいなって思います。
HEATERの皆さんへ
鎌田:じゃあ最後にHEATERの皆さんにメッセージをお願いします。初めてプレーを見てもらう機会になると思うから。
宮下:1年ぶりの試合になりますが、そんなの関係なく、自分の持ち味であるアグレッシブなプレーや、会場が沸くようなプレーを見せたいです。ボールを持ったら楽しみと思ってもらえる選手になれるように、ライジングから暴れていきたいと思っているので、楽しみにしてください。
山村:自分の持ち味であるスピードやステップ、ウイングらしいプレー、そして1年目らしいエネルギッシュなプレーを期待してほしいです。応援よろしくお願いします。
広報担当・鎌田より
ヒートの取材を受けていると、「期待の若手は誰ですか?」という話になることがあります。その時、多くのコーチが名前を挙げるのが山村選手と宮下選手です。
二人とも加入後は長いリハビリ期間を過ごし、なかなかファンの皆さまの前でプレーする機会がありませんでした。しかし、その期間を無駄にすることなく、着実に成長を続けてきました。
今回のインタビューでは、そんな二人の素顔や関係性、そしてラグビーへの強い想いを改めて知ることができました。
ライジング、そしてその先のリーグワンで、二人がどんな成長を見せてくれるのか。私自身、非常に楽しみにしています。
HEATERの皆さまも、山村選手のスピードとエネルギーあふれるプレー、宮下選手のアグレッシブなボールキャリーにぜひご注目ください。二人の新たなスタートに、温かいご声援をよろしくお願いいたします。
広報担当としては、この二人を含め栃木ホンダヒートの新たな未来を担う若手選手たちの活躍を、これからも追い続けていきたいと思います。


